目から鱗のテクニックの数々、非常に勉強になり、やる気もいただきました!『電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。』


『電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。』(本間立平・著)を読みました。

本屋さんで、見つけてパラパラ見たら面白すぎて即購入。

本書は、著者の本間さんが、長年の仕事の中で培ってきた貴重なテクニックを惜しみなく公開されている素晴らしい内容でした。

職種は違いますがこういう専門家ならではの書き方、観点が非常によくわかりました。テンポの良い文章で、サクサク読めました!

特に印象に残った気づきを 3 つ紹介します。

誰が勧めているかで宣伝効果がまるで違うということ

その製品が、たとえ素晴らしい製品だったとしても、製作者一人だけで宣伝するより、購入者や、有識者などが勧めているほうが宣伝力は大きい。さらに競合他社が勧めていたら、買わずにはいられないでしょう。という内容。

これを読んで、以前ゲーム会社のスクウェアとエニックスがまだ合併する前のこと、エニックスの開発者にドラクエの開発についてインタビューをした記事で「開発中の今の気持ちは?」みたいな質問に対して「早くドラクエの開発を終わらせて FF(ファイナル・ファンタジー(スクウェアのゲーム))で遊びたい」と答えていたことを思い出しました。

この時私は「やっぱり FF は面白いし、エニックスも良い会社」という印象をもちました。そしてこの内容が私にとってはかなり強烈に記憶に残っています。それほど競合他社の応援というのは大きなインパクトがあるのでしょうね。

そして「あの人」効果の★が5つが最高だと思っていたのが、最後★10個になるところが凄い!!と思いました。

伝える力が詰まっています。

顧客の立場を考えた提案とアフターサービス

干物店の話もまた強烈でした。

辺境の干物店で、POP もなにもなく、何を選んで良いか全く見当がつかないという状況で、干物屋の主人が一言「イシモチがいいよ」と一声かけて選択ストレスから解放する。

干物店の主人が本間さんを見て推測して、イシモチを勧めるという快挙。

食べてもそんなに旨い魚じゃないけれど、「房総での干物バーベキュー」という目的には最適だというお客様の立場に立った提案。

そして購入後に最高の状態で食べて欲しいという主人の気持ち。それをしっかりと受け取った本間さんのやりとりが秀逸でした。

私も自分の会社の製品は、最適なパラメーターで使って欲しいと思いますから、きちんと伝わるように、工夫したいと思いました。購入後の対応、大切ですね。

「買い文句」と「同視点」

商品を見ているお客様に声かけをする時、「それイチオシです」や「今買わないと、次はいつ入荷するかわかりません」などの「売り文句」は警戒されてしまうとのこと。

逆に全く警戒されないのが「買い文句」だといいます。「買い文句」とは商品を見ているお客様に対して、「それ、いいんですよね」などの買い物客が、買い物中に、頭の中に思い浮かべる言葉」だというのです。

さらに、顔の向きや、体の向きもお客様と同じ商品棚の方に向けることで、買い物客と「同視点」に立った接客が出来るとのこと。

全く持っておっしゃる通りだと思いました。買い物客に寄り添う気持ち。私も自分の会社の製品を購入してくださるお客様の気持ちに寄り添う視点で考えていきたいと思いました。

本書は買わせるメソッドに焦点を当てているようですが、お客様に寄り添って、お客様の気持ちに入り込む様々なメソッドは、一見騙しているようでいても、どこかにお客様に対する愛情が感じられました。最終的にお客様が気持ちよく満足して買っていくのだから、素晴らしい手口だと思いました。

私事ですが、私はソフトウェア品質管理の仕事をしていますが、品質管理でこういう本を書けるくらいになりたいなぁと思いました。

そして私も関わり合いを持って下さる人たちにとって雪を降らせる人でありたい。

非常に勉強になり、今の自分の仕事のやる気もいただきました。

何か物を売るお仕事の方、お客様と接するお仕事の方、本書は非常に勉強になりますので、おすすめします!

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